その友人について詳細を書くことはできないので、大雑把に紹介する。
男性ゲイ、50歳。
Kさんとする。
わたしとKさんは、知り合って10年になる。
10年というと、かなり長い付き合いに感じるけど、距離やタイミングの問題から、実際は1度も会ったことがない。なので、オンライン上の友人ということになるけど、半年に1度くらいのペースで近況報告をガッツリ電話で聞いていたので、最低限、わたしはKさんの性格や気質を充分理解してるつもりだった。
Kさんは話術に長けていて、話はとても面白く、どんな悲惨な状況も笑いに変えられる楽しい人だった。しかし、そんなKさんの顔を初めて見たわたしの第一印象は、
「こりゃメンヘラの毛があるな……」だった笑
めちゃくちゃ面白いトークとは裏腹に、Kさんの目は驚くほど哀しみに満ちていた。声を聴いているだけでは到底気づかなかったと思う。
Kさんはさほど否定せず、
「凄いな、銀ちゃん一発で見抜いたな」と言った。
Kさんは複雑な家庭環境に育ち、わたしには想像もできない苦労をしてきたと思う。家族のこと、仕事のこと、持病のこと、同性愛者として生まれたこと、さまざまな要因がKさんに苦難をもたらしただろう。それでもKさんは、わたしの目から見て、押し潰されることなく、立派に人生を生きている人だった。
そんなKさんが、ある日突然、
「レイキヒーリングを習いにいく」
と言い出した。
手かざしで人を癒やすアレだ。
え?と思った。
わたしがスピ好きなのはKさんも知っていたけど、Kさんからスピ的な話を聞くのは初めてだった。
「どうしたんですか急に」
わたしが返すと、Kさんは事の成り行きを話してくれた。
🧝🧝🧝
Kさんはある日、いろいろ悩みがあるなら相談してみたらどうだと、古くからの友人にひとりの女占い師を紹介してもらったんだそう。
その女占い師は界隈でかなり有名らしく、本人以外絶対知り得ないことを霊視でパンパン言い当てるんだとか。Kさんは女占い師に何度か視てもらい、いろんなアドバイスを受けたそう。
そして、あるとき言われた。
「あなたは人を癒やす側の人間だね。勉強してみたらどう?」
Kさんはその女占い師と会って、ひとつの神秘体験もしている。恥ずかしながら、どういった体験だったか聞いたにも関わらず忘れてしまい、書くことができない。
とにも角煮も、Kさんはこうしてスピへの扉を開いたのだ。
Part2へつづく